甲状腺腫瘍

良性腫瘍

甲状腺腫瘍には良性腫瘍と悪性腫瘍があります。良性腫瘍では嚢胞、濾胞腺腫、腺腫様甲状腺腫、またはこれらの腫瘍が混在した場合が一般的です。嚢胞は小さければ治療の対象になりませんが、大きい場合は圧迫感や炎症により痛みの原因となることがあり、エタノールを注入して腫瘍の縮小を図るPEITとよばれるエタノール注入療法が有効な場合があります。
濾胞腺腫と腺腫様甲状腺腫では腫瘍が大きい場合、腫瘍マーカーであるサイログロブリンが高値の場合、悪性腫瘍との鑑別が困難な場合には手術の適応となります。病理学的には濾胞腺腫は腺腫、腺腫様甲状腺腫は過形成であり、特に腺腫である濾胞腺腫は悪性腫瘍である濾胞癌との鑑別が重要となります。

悪性腫瘍

甲状腺の悪性腫瘍には乳頭癌、濾胞癌、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫があり、乳頭癌は最も頻度が高く、甲状腺癌の90%以上です。濾胞癌は5から10%、髄様癌、未分化癌、悪性リンパ腫は1から2%程度の稀な腫瘍です。
乳頭癌、濾胞癌、髄様癌の治療は手術であり、一般的に抗癌剤治療は行いません。分化癌である乳頭癌と濾胞癌ではリンパ節転移が著明な場合、肺・骨などの遠隔転移のある場合には甲状腺全摘後にアイソトープによる放射線内照射療法を行います。髄様癌の一部は遺伝性であることがわかっており、染色体10番のRET遺伝子の発現により家族性腫瘍であるかどうかの診断を行います。遺伝子検査により陽性であることがわかった場合は注意深く経過観察を行い、手術のタイミングをはかります。未分化癌は非常に予後の悪い癌であり、初診時に既に手術不可能と考えられる症例が多くみられます。可能であれば、できる限り早い手術、化学療法、放射線治療を行います。これらの集学的治療を行っても予後が悪く、新しい治療法の開発が望まれています。悪性リンパ腫は組織診断および画像検査を行って病期を決定し、化学療法、放射線治療を行います。治療は専門である血液内科にお願いしています。

手術

手術方法は腫瘍の大きさ、浸潤の程度、リンパ節転移と遠隔転移の有無によって決定します。良性腫瘍では甲状腺の部分切除、片葉切除で済む場合が一般的であり、多くの場合は切除後も甲状腺機能が保たれます。悪性腫瘍の場合は腫瘍が小さい初期の段階では片葉切除、リンパ節転移が多くみられたり、遠隔転移があるような進行例には甲状腺全摘を行います。リンパ節に関しては郭清とよばれるリンパ節の摘出を行います。特に甲状腺乳頭癌は腫瘍が小さい段階でリンパ節に転移しやすく、適切なリンパ節郭清が重要です。リンパ節転移の拡がりが少ない場合は気管周囲の中心部リンパ節のみを郭清します。リンパ節転移の拡がりを認める場合は総頚動脈・内頚静脈より外側の側頚部リンパ節、さらに縦隔まで転移が進んだ場合は、胸骨縦切開により縦隔リンパ節を郭清します。原発腫瘍やリンパ節転移が浸潤性に進展した場合は必要に応じて気管、食道、反回神経、内頚静脈、迷走神経、副神経などの周囲臓器の合併切除を行うこともあります。髄様癌では遺伝性の場合は甲状腺両葉に多発する場合が多く、甲状腺は全摘し症例に合わせたリンパ節郭清を行います。遺伝性でない単発性腫瘤の場合は片葉切除を行います。  

合併症と術後

手術時の合併症として最も重要なものは発声に関する神経です。反回神経麻痺では声帯の動きが悪くなることで声がかれて会話に支障がでます。このような声がれを嗄声(させい)といいます。両側の反回神経麻痺では呼吸がうまくできなくなり、気管切開が必要になる場合があるので注意が必要です。上喉頭神経外枝の麻痺では高音域の声が出にくくなることがあります。次に副甲状腺機能低下症が重要で、血中カルシウムが低下して手や顔にしびれが出現し、適切なカルシウムの補充が必要となります。
手術後は比較的早期に社会復帰ができ、一般的には入院は1週間以内であり、術後4日程度で退院できます。手術後に甲状腺機能低下となった場合はチラーヂンによるホルモン補充を行います。甲状腺悪性腫瘍の場合は長期的なfollow upが必要です。生存率は高いのですが、10-15年ぐらいたってからも再発することがあるからです。

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